COLUMN

コラム

2020.11.11

ビタミンC・リコピンで日差しに負けない、夏トマトの食べかた。

 

店先に並んだ、トマトやキュウリ、とうもろこし、ズッキーニ、赤や黄色のパプリカなど……目が醒めるような夏野菜の色を見ていると、なんだか元気が湧いてきます。これらの鮮やかな夏野菜の色は「ビタミンカラー」と呼ばれ、元気や健康の素である「ビタミンC」が豊富な食べものを連想させるのです。

 

そんな夏野菜たちの中でも、真っ赤なトマトにはまっさきに目を奪われてしまいます。とれたてぴちぴちのトマトは、まるのままかじるだけで渇いたのどを潤し、爽やかな酸味が暑さにばててしまった身体をきりっと引きしめてくれます。身体にたまった熱を下げる効果もあり、真夏の空の下、冷やしたトマトにかぶりついた思い出が、なんとも忘れ難いものになっているという人も多いのではないでしょうか。

トマトは、暑い夏の暮らしにぴったり合っているんですね。

 

■真っ赤なビタミンカラー。「トマトの栄養価」

 

日本に伝わる有名なことわざ「トマトが赤くなると医者が青くなる」とは、トマトの原産地であるヨーロッパのことわざを意訳したものだそう。原文は「1日1個のトマトは医者を遠ざける」というそうです。赤く熟したトマトは、医者にかかるような病気を遠ざけるほどに栄養価が高い、という先人たちからのメッセージなのですね。

 

そのメッセージの通り、トマトにはビタミンがとても豊富に含まれています。

ビタミンの効果とは、人が生きていくために欠かせない栄養素の吸収や、免疫力と自然治癒力の向上、生活習慣病の予防など。ビタミンの働きによる効果は語りつくせないほど多岐にわたっていて、人の生命活動を複合的に助けてくれているのです。

 

■ビタミンC、βカロテン、リコピンは、日差しに負けない栄養素。

 

トマトに含まれているビタミンの種類を見てみると、体内でビタミンAに変化するβカロテンをはじめ、ビタミンC、ビタミンB1、B2、ビタミンEにビタミンK、珍しいビタミンHやビタミンPなど……まさに、トマトはビタミンの宝庫なのですね。

 

その中でも特に豊富に含まれているのは、ビタミンCとβカロテン。

ビタミンCは免疫力の向上や美肌効果があり、風邪や肌荒れを防いでくれるので、人を美しく健康的に、溌溂(はつらつ)として見せてくれます。βカロテンは、目や喉などの粘膜の健康を守り、目の疲れや喉からの風邪を防いでくれます。髪を美しくさらさらにする効果もあるので、紫外線で髪が傷みやすい夏には欠かせません。

 

また、トマトのトレードマークである真っ赤な色は、リコピンという天然色素によるもの。リコピンは、トマトやすいか、赤色の果肉のグレープフルーツなどに含まれている色素で、強い抗酸化作用を持っていることから近年注目を集めています。トマトを食べて体内に蓄積されたリコピンは、紫外線による活性酸素の増加を抑えます。真夏の強い日差しによる肌のダメージや、日焼けによる肌の老化をやわらげてくれるのです。

 

トマトの色が真っ赤なビタミンカラーであればあるほど、夏の日差しに打ち勝つための栄養素が豊富な証。太陽の光に負けず、内側から美しく健康的にしてくれるトマトは、暑い夏にぴったりの夏野菜なのですね。

 

■さっと炒めて、ビタミンCを。「トマトの炒めもの」

 

トマトのビタミンCは、長時間過熱をすると壊れてしまうと言われています。トマトからビタミンCを摂るためには、そのままサラダやマリネに、もしくはブレンダーでジュースや冷製スープにするのもおすすめの食べ方です。

 

炒めものの最後に加えてさっと加熱する程度であれば、ビタミンCが壊れてしまうことはありません。トマトの表面から出たとろみと甘みが具材に絡んで、美味しい炒めものになりますよ。

 

【ちょっとしたおつまみ、朝食に。トマトの炒めもの】

材料

・トマト …1個

・ベーコン …30g程度(お好みで)

・卵 …2個

・バター …小さじ1

・塩、黒こしょう …少々

 

<作り方>

  1.  トマトとベーコンは一口大に切っておきます
  2.  卵はボウルで溶いでおきます。※小さじ1程度の牛乳か生クリームを加えると、よりなめらかになりますよ。
  3.  フライパンにバターを熱し、ベーコンを炒めます。ベーコンにバターの油がまわったら、トマトを加えて炒めます。
  4.  トマトの表面から水分が出てきたら、塩と黒こしょうで味付けをします。
  5.  2の溶き卵を加えて、全体に絡めるように混ぜ合わせます。
  6.  お好みの固さでお皿に取り出して、いただきます。

ご飯にのせて卵丼にしてもおいしいですよ。

 

 

■じっくり煮込んで、リコピンを。「トマトのキーマカレー」

 

トマトベースのミネストローネや、夏野菜たっぷりのラタトゥイユをはじめ、鶏肉とトマトを煮込んだカチャトーラや夏野菜カレーなど、トマトを使った煮込み料理のレシピは豊富で、夏バテにも効果があります。

 

じっくりと火を通すことで壊れてしまうビタミンCとは違い、リコピンは加熱によって更に吸収が良くなり、体内への蓄積量も多くなるというデータも出ているそう。煮込み料理のほかに、トマトジュースやトマト缶など、トマトを加熱した加工製品にもリコピンは豊富に含まれているので、煮詰める時間がないときにも役立ちますよ。

 

【トマトのキーマカレー(2人分)】

材料

・トマト …1個 (もしくは、カットトマト缶)

・お好みの夏野菜

-玉ねぎ …1/2個

-なす …1/2個

-パプリカ …1/2個 など。

・にんにく …1片

・オリーブオイル …適量

・豚挽き肉 …150g

・塩、こしょう、ナツメグ、バジル …少々

・お好みのカレー粉(カレールウ) …大さじ2

・しょう油 …小さじ1

 

<作り方>

  1.  トマトは一口大に、夏野菜とにんにくはみじん切りにします。

※固形のカレールウを使う場合は、溶けやすいように刻んでおきます。

  1.  フライパンにオリーブオイルを熱して、にんにくを炒めます。香りが出てきたら、豚挽き肉、塩、こしょう、ナツメグ、バジルを加えて、火が通るまで炒め合わせます。
  2.  夏野菜を加えて炒め合わせます。
  3.  夏野菜がしんなりしてきたら、トマトを加えて炒めます。
  4.  具材がかぶるくらいの水を入れて、煮詰めながら水分を飛ばしていきます。

※木べらなどで、トマトをつぶしながら煮詰めても美味しいです。

  1.  カレー粉と隠し味のしょう油を入れて、ひと煮立ちさせていただきます。

 

■まとめ

・「1日1個のトマトは、医者を遠ざける」と言われるほど、トマトには栄養素が豊富です。

・特に多く含まれているビタミンC、βカロテン、リコピンは、夏の日差しによる肌や髪のダメージを和らげ、暑さに負けず元気にしてくれます。

・トマトのビタミンCは熱に弱いので、そのままもしくはさっと炒めていただきます。

・トマトのリコピンは、熱を加えると体内への吸収と蓄積量が増すので、煮込み料理でいただきます。